上のイラストは、当院の入口に貼っているステッカーです。
歯のイラストはこのように擬人化されることも多いですが、足として描かれている二股の部分が、普段は歯肉に隠れている「歯根」と呼ばれる部位になります。イラストでは可愛く描かれていますが、実際には歯の見えている部分よりも奥に長さがあり、曲がっています。
表に見えている歯は、まさに「氷山の一角」という感じですね。
また歯根の曲がり方も、歯の生えている場所や、それぞれの方の歯並びによってさまざまです。そのようにして、歯が簡単に抜けないように、歯肉にしっかり固定される仕組みになっています。
歯の根の治療とは
虫歯が進行すると「やむを得ないので神経を取りましょう」ということになります。これは、歯根にある神経が「むし歯菌」で冒されてしまったためです。
この神経がどこにあるかというと、歯根の内側に空いている穴(根管)の中を通っています。根管の太さはシャープペンシルの芯より細い0.5mm以下で、それが歯根内部で曲がりくねったり、枝分かれしていたりします。
歯の神経を取ったあとの「歯根治療」は、実は繊細で難しい治療なのです。
歯根治療は根気よく
日本では歯根治療は保険の適用範囲内です。
そのため「自分の歯を残したまま神経を取る」治療方法が選びやすくなっています。多くの自由診療の諸外国では、歯根治療に高額の医療費がかかるため、歯の神経が冒されたらすぐに抜歯となるケースも珍しくないようです。
歯根治療の点からみると、日本はかなり恵まれた環境ですが、ひとつ残念なことがあります。それは、歯根治療は「途中でやめてしまう患者さんが多い」治療のひとつだということです。
根管の曲がり方や枝分かれの具合により、歯根治療のためには複数回の来院が必要なことがあります。歯根治療は、歯を削ったりするプロセスがないため、「神経を取ったのでもうOK」と判断されてしまうのかも知れません。ところが、この段階で治療を止めてしまうと、根管の奥深くに細菌が残るため、あとでトラブルを引き起こす大きな原因になります。
歯の神経は「取ったあとが大事」ですので、ぜひ根気よく最後まで通院していただきたいと思います。