前回の歯周病の記事で、プラーク(歯垢)の正体が食べかすではなく細菌や微生物の塊だということをご説明しました。今回はこのプラークの除去について、詳しく見ていきたいと思います。
プラークとバイオフィルム
「バイオフィルム」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。このバイオフィルムも、お口の中にある細菌の集合体です。では、プラークとバイオフィルムではどのように違うのでしょうか?
結論としては、プラークもバイオフィルムも同じ歯垢を表しています。
近年の研究で、歯垢の構造が、台所の排水口や三角コーナーのヌメリと同じであることが分かって来ました。このヌメリ構造を専門用語で「バイオフィルム」と呼ぶため、歯垢を示す言葉として定着してきたのです。
ところで、排水口のヌルヌルと同じものがお口のなかにあると思うと気持ち悪いですね。気持ち悪いだけでなく、このバイオフィルムを放置してしまうと、虫歯や歯周病・口臭の原因になってしまうため注意が必要です。
バイオフィルムを落とすPMTC
ふだん台所の水仕事をされている方はご存じと思いますが、排水口や三角コーナーについたヌルヌルはなかなか落とせません。これは、細菌どうしが結びついて強い固着力を発揮しているためです。
お口の中のバイオフィルムもこれと同じで、普段の歯磨きだけできれいに取るのはほぼ不可能です。
そのため、歯科医院ではPMTCと呼ばれる施術を行っています。PMTCというのは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの頭文字を取った用語で、「国家資格を持った歯科衛生士などのプロフェッショナルが専門の機械・器具を使って歯をキレイにする」ことです。
言葉だけだと単に「歯のお掃除?」という印象ですが、PMTCの一番の目的は、普段の歯磨きでは除去できないバイオフィルムをきれいに落とすことにあります。さらに、歯の表面を硬くするフッ素入りペーストを使用するため、より虫歯になりにくくなります。これらの相乗効果で、定期的にPMTCを行った人とそうでない人では、虫歯のなりにくさに70倍もの違いがあることが分かっています。(海外での長期研究結果による)
またPMTCには、もうひとつの特長があります。それは、とっても気持ちがよいということ。クリーニング中に寝てしまう方もたくさんいらっしゃいます。また、さまざまなフレーバー入りのペーストがあり、気分もすっきりリフレッシュできます。
歯垢を放っておくと数日間で歯石になってしまいます。この歯石取りについても、PMTCと一緒に行うことができますので、まずはお気軽にご相談ください。