皆さん、うどんやラーメンはお好きですか?
お店によって麺にコシがあったり、柔らかかったり、モチモチしこしこしているなど、食感にさまざまな特徴があります。
また、リンゴにかじりついたときのシャキッとした歯触りや、ポリポリ食べるピーナッツ、パリッとしたお煎餅もおいしいですよね!
食感は、食べ物をよりおいしく感じるさせる重要な要素のため、食品メーカーが製品を開発する際にも力を注いでいる部分です。
さまざまな高精度なセンサーが付いた「食感試験機(テクスチャー試験機)」という装置があって、それで食物の固さや粘度を記録するのだそうです。
この「モチモチ」「しこしこ」「ポリポリ」といった食感は、特に意識しなくても、誰でもその違いを実感できます。
私たちの口の中に「食感試験機」のような高精度センサーがついているためですが、ではそのセンサーはどこにあるのでしょうか?
歯ごたえはどこで感じるか?
歯そのものには感覚がないため、多くの方は「食感は歯の中の神経で感じるんじゃない?」と思われるかも知れません。
歯の中にある神経は「歯髄」といい、虫歯になったときに「痛っ」という激痛が走る、あの敏感な神経です。
ところが、健康時の歯髄は硬い歯に囲まれているため、そこで食感を感じることはありません。
実は、歯の根の部分に、歯と骨をつないでいる「歯根膜」という膜があって、この膜が食感を感じているのです。
歯根膜は厚さ0.5mm以下の薄い膜ですが、歯根全体を覆っていて、歯と骨が簡単に抜けないようにつなぎ止める役目をしています。
この膜はわずかな圧力にも敏感なため、食べ物によって食感の違いを感じとり、咀嚼の力を調整するためのセンサーの働きをしているのです。
歯根膜を失うと…
歯根膜は、食感を楽しむだけでなく、咀嚼する力をコントロールするための大切な働きをしています。
そのため、歯根膜の働きが妨げられると、上手に噛むことができなくなってしまいます。
歯根膜の働きを損なう原因は、このブログでも度々とりあげている歯周病のほか、歯ぎしり・くいしばりなどによってダメージを負うことがあります。
歯ぎしり・くいしばりなどは、就寝時用のマウスピースで負担を軽減できますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
また、いったん歯が抜けると、歯と骨を結びつけていた歯根膜も同時に失ってしまいます。
そのため、入れ歯やインプラントを行っても、以前のような食感を取りもどすことは難しくなります。
これに対する一番の対策は、自分の歯を失わないように普段からケアすることです。
特に「静かな病気」と言われる歯周病は、気づいたときには手遅れになる場合がありますので、定期的な検診をお心がけください。